「千鍛万錬」
「入学したら寮生活で2人部屋ですが、大丈夫ですか」。入試で放たれた試験官の言葉に私は驚いた。なんと秀明大学学校教師学部は全寮制だったのだ。国立大学受験に失敗した私は、ろくに調べもせず受験したのを後悔した。ここで「不安です…」などと言っては、不合格となる。浪人は嫌だったのであとがない私は「はい!」と力強く答えるしかなかった。
朝は、7時に起きてラジオ体操。夜は門限がある。思い描く大学生活は夢に終わった。しかし、友人が常にそばにいるのは心強く楽しかった。教育について一晩中語り明かしたこともあった。規則正しい生活、2人部屋ならではの人間関係構築能力、寮生活を通して得られたものはたくさんある。何より、どこへ行っても話のネタになり盛り上がる。今となっては、この大学を選んで本当によかったと思っている。お世話になったすべての方に感謝したい。「かの時に 我がとらざりし 分去れの 片への道は いづこいきけむ」。